写真集『風の庭園』コンセプト

【風の庭園】

須田は写真の現実性と絵画の幻想性を融合させ、風と光と水面が織りなす瞬間的な現象を「新・写真印象派(New Photo Impressionism)」として提示する。

撮影の多くは日本庭園の池で行われた。モネの筆触分割に通じる細やかな反射や揺らぎを、カメラという機械的装置を通して可視化している。


須田にとって『美』とは、知り得る世界のどこにも存在せず、見えず、掴むことのできない対象であり、現実と非現実の狭間に出現する“現象”であるという。

『美』は作品の見えている部分にあるのか、内在しているのか、鑑賞者の心の中なのか。それとも全く別の世界にあるのではないか。


この直観は、知覚の限界を超えた場所に『美』を見いだそうとする挑戦であり、プラトン的イデア論から現象学、さらにはシュレーディンガーの猫にまで響きあう美学的思索である。粒子と波、存在と無、エロスとタナトス――その相克の瞬間に『美』はわずかに姿を現す。写真はその一瞬の“不可視のゆらぎ”を掴み取る。


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また、今作の写真集は、ハードカバーを一冊ずつ手で製本した私家版である。機械で大量生産・大量廃棄する一般書籍とは違い、効率や合理性を求めたものではない。

糊のしみ、紙のシワ、ズレ、指紋…一冊一冊に何かしらの歪みがある。


しかしそれらはエラーではない。人と時間が存在した「痕跡」である。


虚像であるデジタルをパソコンから引き出し、「本の形」に立ち上げ、人が作り、人へ渡す。


触れた瞬間の手触り、重さ、匂い、ページをめくる音と紙のしなり。作者が紙と糊と布と格闘した息づかい。手製本とは、人、つまり須田誠がそこに「実存」していた証拠である。


「美」自体は見えない、どこにもない。しかし「美」と、生きている「私」は分かたれず、人生というプロセスそのものが「美」となる。


美(beauty)=生(life)であり、生は美である。


本作『風の庭園』は、作品を提示することと同時に、ひとつの生き方を差し出す試みである。

須田誠


<個展の様子>

・2026年5月 銀座・森岡書店にて個展(世界的に有名なギャラリーです)

https://www.instagram.com/stories/highlights/17926119399289311/

・2025年10月 ありかholeにて個展

https://www.instagram.com/stories/highlights/18326513170242812/